「EU崩壊」などは近視眼的な妄想に過ぎない」東洋経済ONLINEに寄稿しています

東洋経済ONLINEに寄稿しました。

screen-shot-2016-12-18-at-19-18-13

「EU崩壊」などは近視眼的な妄想に過ぎない
ヨーロッパは昔からいつもたいへんだった

12月4日、イタリアの国民投票はレンツィ首相(当時、12日にはジェンティローニ氏が外相から首相に就任)にノーを突きつけた。賛成41%、反対59%の大差でレンツィ首相の憲法改正提案を拒否し、首相は辞任した。首相の憲法改正提案に、反EU・脱ユーロを主張するポピュリスト政党「五つ星運動」が激しく反対した。そのためか、わが国では、イタリアの首相敗北はポピュリズム運動の勝利、というような解釈の論調も見受けられる。Brexit(ブレグジット・英国のEUからの離脱)や「トランプ勝利」の連想かもしれない。

だが、よく見てみると、そうでないことが分かる。
(本文より)

ぜひご覧ください。

「国際問題12月号」JIIA(国際問題研究所)論文 オンライン版UPされました

国際問題研究の論文が公刊になり、オンライン版も掲載されました。

日本国際問題研究所(JIIA) 月刊誌 国際問題 2016年12月号 
焦点:「深刻化する格差問題」
米国、日本、中国、EUそれぞれの格差問題を取り上げる

田中はこの中で「EUの格差」を担当しました。

格差問題については、EU先進国の中では、英国がとくにひどい印象である。失業手当は東欧並みの水準に切り下げられていて、「これで先進国か?」と首をひねりたくなるほど。キャメロン前首相とオズボーン前財務相が「戦後最大」といわれる財政カットを断行したことも大きく影響している。地域の所得格差も大きい。21世紀になるとEUは新自由主義の単一市場になってしまい、新規加盟した東欧の低賃金を利用して、本国の賃金も切り下げようとしたのであろうのであろうが、そのつけが今来ているのかもしれない。

JIIA(国際問題研究所)のウエブサイトからご覧いただけます。

詳細につきましては、下記ウエブサイトをご覧ください。
論文のオンライン版(pdf)も、同ページよりダウンロードしていただけます。

http://www2.jiia.or.jp/BOOK/

「EUの対中国通商政策」11月ー日本EU学会大会報告

11月27日、日本EU学会大会で「EUの対中国通商政策」で報告した内容について。

輸入急増、ダンピング、加盟国の各個撃破、欧州委員会プロジェクトへの献金による委員長の取り込み等、中国に主導権を取られることの多かったEUが、2016年に反撃に移りました。中国が要求した「市場経済国」の承認を7月にEUの欧州議会が圧倒的多数で否決。11月にはアメリカ並みの高い反ダンピング関税を中国製品にかけることのできる準備を整えました。

中国には強く出ることの少なかったドイツも、虎の子の先端企業を中国企業に買収されるため態度を改め、年末には半導体装置製造企業の中国企業による買収に差し留めの措置を執りました。

2016年はBrexit、トランプ大統領選出など歴史に残る年になりますが、EUの対中国通商政策でも転換の年として記憶されるかもしれません。そういう話をします。いずれ論文にします。

参考資料
世界経済評論 2016年3/4月号 に、論文「EUの対中国通商戦略」掲載
(15年11月執筆)